「ズボンのスソはシングルにしますか?ダブルにしますか?」
スーツを購入した時に、店員さんに一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。
「シングル」、「ダブル」というのは和製英語で、ヨーロッパでは「プレーン(plain)」、「ターンナップ(turn up)」と言います。
どちらでもいいんじゃないか、と思いますが迷ってしまうという方のために今日はズバリ、スタイリスト視点で1つの基準を設けてみました。
・ビジネスシーンはダブル
・フォーマルシーンはシングル
正解のない問題と言われていますが、
私はこの基準から使用場面に合わせて選択することをお勧めしたいと思います。
なぜ、その基準を推奨するのかを
それぞれのメリットや由来から、見てみたいと思います。
シングル、ダブル違いが生まれた理由
①勘違い説
英国の貴族がアメリカで行われる結婚式に参加するため向かう途中で雨に降られてスソが濡れるのを防ぐために折り返したまま会場に到着。
それを見た参加者が”これが新しいスタイルなのか”と勘違いをして定着したという説です。
②競馬場で生まれた説
競争馬の馬主だったイギリスの議員・ルイスハムという方が、パドックで雨に降られた際にスソがよごれないように折り返した。
その姿が格好良いと、多くの紳士が取り入れたという説です。
③狩りの最中に生まれた説
狩猟に熱中していた貴族が、思わず裾をまくりあげたことが起源という説。
どれもありそうな仮説ですが、出所はハッキリしておらず間違いないのは実用的な発想から生まれたということだけのようです。
では、それぞれ選んだ場合にどんな印象や効果をもたらすのかも含めて見ていきましょう。
シングルを選ぶ場合
折り返さずに真っすぐスソが縫われている状態です。
こちらはフォーマルな場面に向きます。
冠婚葬祭は必ずといっていい程シングルにしましょう。
礼服など格式の高い場で使う可能性のあるスーツはシングルで直しておきましょう。どこへ行っても大丈夫です。
続いてダブル。
折り返しをつけてスソが縫われている状態です。
こちらはビジネスなど、活動的な場面に向きます。
スソを折り返すことにより、重みが出てピンと綺麗なラインが生まれます。
ダブルに仕上げる時は幅を何センチに仕上げるかを指定する必要があります。
昔は3cm〜3.5cmが主流でしたが細いスソ幅が主流の現在はバランスが悪く感じます。
今は4~4.5cmに仕上げることを推奨します。
身長や足の長さによってバランスが変わりますが、靴のタイプがラウンドなどのクラシカルなものとの相性を考えると
4~4.5㎝の長さが丁度良いでしょう。
ちなみにダブルの折り返し部分をホックで留める方法と糸で留める方法がありますが、糸で留める方法がスタンダードです。
まとめ
・フォーマルな場所でも使いたいならシングルを選ぶ
・ダブルはアクティブな印象になると同時に、ピンと伸びたラインを作る
・ダブルを選ぶ際には4~4.5㎝がスタンダード
ぜひスーツやスラックスのスソを上げる際には
参考にしてみてください。