こんにちは、スタイリストの吉川です。

これまでも、ウールにモヘアと定番ともいうべき素材について書いてきました。

今回はなかなかお目にかかれない希少な繊維。
「宝石」と呼ばれるビキューナについて見てみましょう。

1着500万円!?ビキューナのコート

出どころのしっかりしたビキューナ素材で織られたコートは名の通ったブランドで、400~500万円はくだらない。

そんな時期もあったと言われています。
高級車が購入できてしまうほどの値段ですね。

なぜ、そこまで値段が高騰するのか?
その理由と繊維の特徴に迫っていきたいと思います。

2年に1度しか採取できない世界で最も貴重な繊維

ビキューナは南米アンデス山脈の標高5000m付近に生息するラクダ科の小さな動物です。

その毛は過酷な環境から身を守るために、細く柔らかで温かい滑らかなものになります。

カシミヤより軽く、カシミヤよりも軽いと言われその着心地はまるで身体にぴたりと吸いつくと表現されます。

1頭から採れる毛の量は150~250gと非常に少なく、選別を経て紡績されるまでには更に半分の量に。

採取の時期は2年に1度と生育にも時間がかかり、より希少性に拍車をかけています。

1572年のインカ帝国滅亡後から1970年代にかけ、その毛の魅力ゆえに乱獲や密猟によって数が大幅に減少。

一時は絶滅の危機にまで陥りましたが、政府と企業の保護政策やワシントン条約によって現在では40万頭を超えるまでに回復しています。

まさに「神々の繊維」、「繊維の宝石」と言える希少性と至上の着心地はひとつの醍醐味と言えるでしょう。

美しい黄金色の繊維

その柔らかく温かい毛はコートやマフラー、毛布に使われるなど幅広く利用されます。

数の回復後は決められた量のみが取引されると共に、生きたまま毛を採取することが義務付けられています。

殆どは欧米を中心に取引が行われるため、日本に入ってくるのはとても貴重というわけです。

特にペルーとアルゼンチンで採れるものは評価が高く、ペルーのものはゴールデン・ブラウン。

アルゼンチンのものはライトハニーと、異色ながらどちらも美しい色となっています。

まとめ

・世界で最も希少で、最も柔らかい獣毛である
・厳しい環境ゆえに最高レベルの柔らかさと温かさを持つ
・吸いつくような滑らかさと肌触りは一見の価値あり!!

もし、運よく見かけたり所有されているものを触る機会があれば、その最高の「神々の繊維」を体験させてもらいましょう。

驚くべき感触に包まれる喜びを、感じてみて頂けたらと思います。

いつかはあなたの手にも、ビキューナ製品が届く日がくるかもしれません。

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