こんにちは、スタイリストの吉川です。
ジャケットの素材を探求するシリーズ第2弾。
(第1弾見逃した方はこちら)
今回はモヘアです。
実は、モヘアというのは動物の名前ではありません。
アンゴラ山羊から採れる獣毛のことを指します。
トルコのアンカラ地方が原産の山羊の一種で、現在はアメリカ北部や西アジア、南アフリカ等で育てられています。
繊維としての特徴は以下の4つです
①光沢が非常に美しい
②吸湿性に優れている
③ハリ・コシがある
④断熱性が高い
モヘアはスケールと呼ばれるウロコ状のものが少ないので滑らかで吸湿性に優れています。
また、ヒツジと比べて、クリンプと言われる縮れが少ないため弾力性や保温性が少ないのも特徴です。
このため逆に弾力性と保温性に優れたヒツジの毛=ウールと混ぜて使われることが多い素材です。
お互いの特性を活かしながら、補い合うという相乗効果が得られるというわけですね。
一方でウールにはないハリやコシを持っているのでシワになりにくいという点もモヘアの強みです。
総合的に通気性が良く、シワになりにくいということで日本の夏にはぴったりな素材であるという評価もあります。
世界中で愛される生地
そんなモヘアを一躍有名にしたのが、イギリスの老舗マーチャントDORMEUILです。
1957年に発表されたモヘア生地のコレクション『トニック』はその後10年ほどで80万メートルも販売され、まさにテーラーで大ヒットと言われる生地になりました。
DORMEUILの名を知らしめたこの生地は現在も改良が続けられ、世界各国のテーラーで愛されています。
子山羊の毛は更に希少性が高い
生後1年未満のアンゴラ子山羊の毛を使用したものは「キッドモヘア」と呼ばれています。
繊維の細さは25~27ミクロンとカシミアに近くカシミアに近い柔らかさに、モヘアならではの強さもあります。
キッドモヘアの採れる量はモヘア全体の実に6分の1以下と言われているため、希少性も高いです。
まとめ
モヘアのみでは硬くなりすぎる可能性もありますが、ウールとの混紡生地を使用することでバランスが良くなります。
スーツやジャケットの素材として申し分ないでしょう。
・ハリのある繊維で適度な光沢
・コシがあるためシワになりにくい
・吸湿性が良いので冬は勿論、暑い季節も快適に着られる
ジャケット選びの際にはモヘアの特性も踏まえて是非お気に入りの1着を見つけてください。